────────────

今日から高校生活で最初の
長い長い夏休みが始まった。


今までは退屈で退屈で
毎日が同じ日々、学校行くほうがマシだって思ったけど
今は違う。

絢人、雪ちゃん、翠ちゃん。
友達って呼べる人に出会った。

そして今日は4人で初めて遊ぶ日なのだ。


時計の針は10時15分を指す。

ひと足先に待ち合わせ場所に来た私。

「梨心ちゃっ.......やばすぎっ......」



「雪ちゃんおはよっ....て、なにが?え?」


やばすぎ?最初に発した言葉が"やばすぎ"ってなにそれ??
え、ダサいの?私ダサい?


今日、すっごい楽しみにしてたから
結構悩んで服選んだんだけど.....。


「か、可愛すぎ!!梨心っ!」

そう言って雪ちゃんは飛びついてきた。

「ふぁっ?ほんと?」

可愛すぎって....そっちかーい!

もう、ほんとダサいんだと思っちゃったよ。

「可愛い!梨心可愛い!好き!」

「あ、ありがとう....?」


私の今日の服装は、
黒のワンピースに、
可愛くなりすぎないようにハイカットのスニーカー。
髪の毛はいつもはおろしてるけど
今日は緩くお団子ヘアにしてきた。
メイクは、学校の時よりは
少し濃いけど派手すぎずってとこかな?

手首にはおしゃれな時計と
シンプルなブレスレット。

もちろん夏休みだからネイルもしてきました!夏風に。

「もう誰にも渡したくないな...これは」

雪ちゃんが私を上から下まで舐め回すように見ながらボソボソ言う。

そんな雪ちゃんもなかなか可愛い。
でも想像とは違ったファッションで少し驚き。

スカートとか履いてくると思ってたら
案外スキニーパンツに
上も黒のロックテイストのTシャツ。
黒のリュックを背負ってスニーカーも黒だ。
いつもストレートの髪の毛は少しだけ巻いてある。

ひとことでいうとカッコイイ。

「雪ちゃんもめっちゃかっこいい。イメージと違った。」

「へへ。私のロックバンドが好きだからね!
いつの間にかこんなふうになっちゃった。」




「よー」

少し待っていると絢人が来た。

意外と時間内に来るんだ。

絢人の私服姿は初めて見た。
今日は何故かメガネをかけている絢人。
普段はコンタクトって言ってたけど...
なんで今日はメガネなんだっ。
でもそれがまた似合っている。

かっこいい。普通にマジで。

「絢人おはよっ」

「絢人くんおはよーーー」


絢人はまじまじと私の方へ視線を向ける。

......なによ。


「お、おはよ。」

言葉をつまらせそうになりながらも
絢人は返事を返してくれる。

ん?なんか絢人どーした?

「絢人今日メガネ?」

「おー、コンタクト切れてんの忘れてたんだよー.....」

なんだ。っと
そんなたわいもない会話をして
15分が経過。

もうとっくに集合時間の10時30分はすぎているのに
未だに来ない翠ちゃん。


「翠ちゃん来ないね......」

「遅刻かな?」

すると
向こうの方からなにやらちっちゃい子がダッシュしてこっちに向かってくる。
あのシルエットは完全に翠ちゃんだ。


「......みんなー!!!ごめんー!!」


翠ちゃんがこっちに向かってきながら大声で叫んでいる。
ふふっ、可愛い。

その時、
急に視界から翠ちゃんが消えた。

あれ?あれ?どこいった?

すると横にいた絢人が舌打ちをして、向こうに歩き出す。
絢人の視線の先を見ると
翠ちゃんがベタッとこけていた。

ええええええ!
こけたの!?

「おいチワワ。何してんだよダセーな、立てよ早く。」

絢人はそう言って翠ちゃんの腕をガッと掴み無理やり立たせる。


「....ぅぅ....いたた......ごめんん...ありがとぉ....」

翠ちゃんは泣きそうになりながらも絢人にお礼を言っている。

「大丈夫?翠ちゃん」

「翠....ぷっ.....くっ....まじウケる...」

横で今にも大爆笑しそうな雪ちゃんがお腹を抱えて笑いをこらえている。

まあ、確かに.....ちょっと、おかしいけど。

でも絢人も、翠ちゃんに対して優しくてホッとしたよ。

ま、私はその時翠ちゃんの顔が少し赤かったのを見逃さなかったけどね。

翠ちゃんは相変わらずツインテールで
シフォン系のトップスと
少しタイトな膝上スカートを履いている。
翠ちゃんらしい、可愛い格好だ。
ほんと、似合ってる。


「よし、じゃあ行くかっ」

場を仕切ってるのは雪ちゃん。

さすが、姉御肌。


そうして私たちは遊園地に向かう。