【絢人side】


「....先生だろ？」

俺が発した言葉により梨心の表情が変わる。

いや、びっくりしすぎだろ！

梨心の好きな人が先生って聞いた俺の方がびっくりしたわ。


「何で知ってるの？」

「......成り行きで、まあ。」


お前らの話を盗み聞きしてたなんて言えるか！

「....引いた？」

「引いてない。」

引きはしねーよ。
人間誰を好きになるかなんてわかんねーんだし。

「マジ？」

「マジ。」


「なんで？」

は？
なんでって、なんだよ。笑


「いや、引きはしねーよ？
でも、応援もしねーよ。」

「......なんでよ。ひどい」

ひどいって...お前。

直球で振ってくる方がひでーよ！
俺はさっきの振られ方で
ひよこが死んだ時より病んだぞ。


「好きなヤツの恋なんて応援できるかよ。ましてや相手が先生とかふざけんなっ」


「は、ははは.....だね、ごめん。」


なんでこいつはこうも冷静なんだ？

「俺ってもしかして恋愛対象外？」


少しの沈黙が続く。


この沈黙がつれーよ。
現実を物語ってるよ。


「恋愛対象外ではないけど.....

ん～、友達かな....。ひよこ育ててるし」


ぷぷっと笑い、
すぐに、ヤバい。と口を抑えた。

そーゆー仕草だよ、可愛い。マジで。

「ひよこは関係ねーな」

俺は顔には出さないけど
結構傷ついてるんだよ...さっきから2回も振られて。



毎日俺に告白してくるやつも
俺から振られたらこんな気持ちなのか？

それはそれで、なんか、嫌だな。
興味はねーけどさ。

「なんで先生なの？」

「好きに理由とか、ない。」


「俺は梨心が好き。」


「無理。先生が好き。」



淡々と答える梨心に

それでも諦めつかない俺って

どんだけ馬鹿なんだ。