【橋本side】



「せんせーーーーーーーーー。」


寝ていた俺はその声で目を覚ます。

落ち着いた、かつ綺麗なその声。


片目をあけ、

「まいど~」

俺はそれだけ言う。



この前から、なんかわからへんけど
俺はその、なんてゆーか

胸がざわついている。

まあ、大体の原因なんて想像はつくと思うが、今目の前にいる、コイツが多分その原因や。


「まいどって...うどん屋さんみたい。」

特に大袈裟な反応はせんと、
淡々とツッコミを入れて微笑む。


最近俺のところによく来る西村。

この前、俺が西村にキスをした時から

多分俺は西村に対する自分の気持ちに気がついた。


彼女に、惚れたのかもしれん。

理由なんて、言葉では説明つかんから俺もまだ、正気ではない。


「....もしかして授業サボったんか?」

「せ・や・で~」


.....ほんまに、何も飾ったりしてへんのに
なんでこんなに、可愛いと思ってまうんやろか?

てゆーかそもそも、ドストライクやねん。
ロングの髪も、透き通った白い肌も
二重の目に整った鼻と口。
おまけにスタイルがばりええねん。

こんなん制服着てなかったら、危うく手出しそうになってたわ。
冗談やけど。


俺は女子生徒が嫌いな割に
コイツに対しては何の壁も作らんかった。自然とな。


でもコイツは俺のことが好きで

俺も、コイツが好きやねん。


まあ先生という立場上
ほんまはアカンねんけど。

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「もうすぐ夏休みですよ、先生」


「せやなぁ。先生夏嫌いやから、あんま嬉しくないねんけど。」



てか、スカート短すぎんか?
パンツ、見えそうやねんけど。笑

横で体育座りをしている西村は
今にもパンツが見えそうなくらいスカートが短い。

こんなん、見せつけられたら....まあ年頃の男の子は黙ってねえんだろうな~。


「あっ、虹。」

横から小さい声が聞こえてきて
西村が立った時、その足元がぐらついて
俺の方に倒れそうになった。


俺は咄嗟に手を引いたんやけど.......


..............................

急に西村の顔が赤く染まる。
ふふっ、いじめたなるなぁ。

俺があぐらをかいて座っているところに
西村の体がちょうどスポッと収まったのだ。

「先生、ごめんなさい。..........」

西村はそう言って、しばらくたっても手を離さない俺の顔を不思議そうに見つめた。


────反則やない?その顔。


俺は気がつけば西村にキスをしていた。


────チュッ

音を立てて離れる唇に
まだほんの少しだけ感触が残る。


再び顔を赤くする西村。

か、わいい。ほんまに。
可愛すぎて、しんどい。


「先生!」


急に西村が大勢を俺の方に向けて口を動かした。


「ん?」


俺はあえて、目を逸らして。


「なんでそんなことするんですか。」


可愛いから。なんて言えるわけないやん?

「んー、気分やで。」


すると西村は俺の真正面から
俺の頬を両手で挟んだ。


そのまま顔が近づいてきて、
気づいたら西村にキスをされていた。


.......................え?


なにやってるん。この子。



すっと唇が離れて
それと同時に西村も、少し離れる。

両手で俺の顔を支えたまま

「先生の、馬鹿。」

俺の目を見つめてそう呟く。


西村の手に、触れられてる頬が
少し熱くなるのを感じた。


かなわねえな、コイツには。


クソがきだと思ってたけど

多分、俺の方がクソガキやわ。


パッ

西村の手をどけて俺はフェンスの方へ歩く。


はぁ~...........。
しっかりしろ、俺。

今のはただの仕返しやで?


俺今、顔真っ赤なんちゃう....?

ははっ。恥ずかし。



あー、好きやわあ。



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