あんな屋上事件があってはや1ヵ月。
あれから先輩には会っていない。
もともと校舎が学年別なことにより、
他学年と会うことさえ滅多にない。
まあ、会いたくないってのもあって食堂や自販機、移動教室の時は私が警戒してるんだけど。
だって.......私のファーストキス......
初めてだったんだよ?
それが、あんなクソ男に.......。
私はブルブルッと顔を振って
忘れようとした。
6月も終わり早くも7月に突入した。
もうすぐ念願の夏休み...!
って言っても特に予定なんてないんだけど。
「お前はブルドッグかよ?」
「んーー。」
少しだけ暑くなってきた教室で今日も絢人とお弁当を食べる。
────ドタバタッ
「「!?」」
目の前にはお弁当箱を持った雪ちゃんと翠ちゃん。
「一緒にお弁当食べようっ!!!」
先に口を開いたのは翠ちゃんのほうだった。
雪ちゃんは翠ちゃんの発言に、うんうんと頷くだけ。
「いいよ。絢人、いいでしょ。いいよね。」
私は絢人を半ば強制的に納得させ
2人を席に招く。
「梨心との時間が邪魔される。」
絢人は不服そうに翠ちゃんを睨む。
ま、最初2人が鉢合わせた時よりは、
全然優しい目だったけど。
「梨心ちゃん!夏休み遊ぼうよっ!!」
翠ちゃんはいつだって張り切ってる。
可愛くて、ほんとうにチワワみたい。
「あ?梨心は俺と遊ぶの。」
「いや、そんなの聞いてないから。うん、遊ぼ、翠ちゃん雪ちゃん」
絢人は被害者ですみたいな顔をしながらお弁当に食らいつく。
「絢人とも遊ぶからさ?ほら玉子焼きあげるから」
そう言うと絢人は、
マジで!?と目をキラキラ輝かせて私の玉子焼きを秒で奪う。
仕事がはやい!
「2人はどっか行きたいとことかあるの?」
私は、ショッピングモールに行きたい。
最近できた大型のショッピングモール。
「私はあのショッピングモール行きたいかな。」
雪ちゃん、ナイス。
私も今それ思ってたよ.....!
「しょーも行きたいそこ!!
出来たばっかで人多いかもしれないけどっ」
「私も実は今考えた。決まりだね」
絢人の方を見ると頬を膨らませて椅子をガタガタやっている。
子供かよ........。
そんな絢人を見て痺れを切らしたのか
「た、た、た、たたたた橘くんも、い、いい一緒に行こうよっ!」
翠ちゃんが口を開いた。
翠ちゃんの口から、一緒に行こうという言葉がでるなんて、びっくりひた。
「はあ?なんで俺が...「そうじゃん、絢人も行こうよ、行くよね?」
「はい、行きますもちろん。」
そんな私と絢人のやり取りを見て
ふたりは 顔を抑えて笑いを堪えてる様子だった。
まあ確かに.....わからなくもないけど。
嫁の尻に敷かれている旦那
みたいな感じに見えるっちゃ見える。
(自分で言うな)
その後3人プラスガードマン1人で
夏休みのプランをいくつか考え休み時間が終わった。
最初はどうなるかと思ってた高校生活。
案外、楽しくなりそうだよーーっ。
