次の日の放課後

昨日もらった手紙を持って屋上へ向かう。


「俺もついてい....「いいから」

なんで絢人がついてくる必要があるのよ。


私は手紙を手に屋上のドアを開ける。


────ガチャ


「....えっ...」


「あっ、梨心ちゃんー♪」


手紙の人...じゃ、ないよね?

今私の目の前にいるのは、...寛也先輩だ。


「もしかしてこの手紙....先輩ですか?」


まさか、と思いながらも聞いてみることに。


「?そうだよ?」

「なんで.....」


「そんな嫌な顔しないでよ~。でさ、梨心ちゃん俺と付き合ってよ。」

至って表情も変えずに先輩はそう言う。

いやいや、無理ですってば。

この先輩、まだ2回しか会ったことないのによく付き合ってとか言えるよね.....。

先輩は徐々に私に詰め寄って、ついに屋上の壁まで追いやられてしまった。
気づいたら私の手は頭上で壁に押さえつけられて。

デジャヴ.......。


「梨心ちゃんさー」

「な、なんですか?」

先輩.....顔近い......。

「可愛いよね。スタイルもいいし。

後輩から聞いたけど、頭もいいらしいじゃん?」

.......「だったら何なんですか?」

「んー、まあそれがどうってことじゃないんだけどね。

俺と付き合わない?梨心ちゃん」

話が読めません.....!!!

てかこんな時こそ絢人助けに来いよ。

「嫌です。」

すると先輩は不敵な笑みを浮か口を開いた。

嫌な予感.....。


「バラしてもいいんだけどな~。
梨心ちゃんの母親のこととか、中学時代のこととか~....」


「はっ............?」


こいつ.....何言ってるの?
中学時代こと..........?


私が抱えている過去が、母親のことだけではない事が
なんで先輩の耳に届いてるの.....?

てか、バラすってなに....?

意味がわからない。

頭が真っ白になる。

「先輩一体なに...んっ....」


突然先輩の顔が近づいてきて────


「.....っ.....せんっ......」


苦しい。止めて.......................

お願い.......................


突然先輩にキスをされ、
頭がボーッとしてきた頃。

「.......そんなエロい声出すんだ?」


突然唇が離れて先輩が口を開く。

え、エロいって.....


あー.........
頭がボーッとして力が入らない。


「.....俺と付き合えよ。じゃないと止めないよ....?」

ニヤリと笑ったと思ったら
今度は先輩の手がスカートの中へ入ってくる。


「ちょっ........んっ......や、めてっ..」


そのまま先輩の唇は私の首筋に。

どんどん力が抜けていくのがわかる。

抵抗したくても抵抗できない。


あー......なに?これ
こんなとこで襲われるわけ?
しかもこんな奴に?嫌だよやめてよ.....


もう無理なんだと思ったその時




「はーーーいそこまで、ストップ!」



.......................この声。


声のする方向、上を見るとそこには
しゃがんで私たちを見下ろす先生の姿が。



.......................遅いよ......。


「あっれ~....邪魔されちったか~。

まっ、今日はこんなもんでいっかな♪梨心ちゃん、これからも悪い男には気をつけてね?」


先輩は私の手を離しそそくさと屋上から去っていった。


────ズルズル


私は掴まれていた手を話され
そのまま座り込んだ。

「よっ!と。」

目の前にはさっきまで上にいた先生が。
またそこで寝てたの?
まだ肌寒いっていうのにさ.....。


「大丈夫か?.....なわけあるかいなって感じか?」

「ははっ、大丈夫じゃ、ないです。」



「泣いとるで、子猫ちゃん。」


先生がそう言うので目を触ると涙が出ていた。
自分でも気付かない間に。

だってあんなことされたの、初めてだよ....?


「消毒が必要やな。」


────チュッ


一瞬目の前が真っ暗になり
すぐに視界が開けた。


え?何今.....


「.....先生....なにいまの....」



先生が私の瞼に、キス.....した.....?


「ん?消毒やで!それと~この前の仕返しもやな。」


消毒って........
なんでそんな優しいことするの......


ていうか仕返しって....?
もしかして前に保健室で先生が寝てる時.....

ほんとは気づいてたの!?


カァァァ。

もう耳まで赤くなるのが自分でも分かるくらいだ。


「ははっ、真っ赤やで!.....よしよし。」


笑った後、先生は頭を撫でてくれた。

先生.........
私が泣いてたから、慰めようとしてくれたの?



「せんせ......」

「どないしたん?」

「....なんでそんなに優しくするんですか....?」

先生はとぼけた顔をした後
うーんっと悩むフリをして、私の手を取った。


「んー、それは秘密にしとこーかな?」



「やっぱり先生、バカ。」


先生はケラケラ笑うだけ。

でもそれだけで、もうなんでもいいやって思えるんだ。