次の日の朝、絢人にLINEを送った。

【絢人おはよ~。一緒に学校行こ?】

なんだか、ひとりで行くのが心細くなっていた。
弱くなっちゃったな、私。
もっと強かったはずなのになぁ....。

────ピロンッ♪

【梨心はよー!ええでー!
じゃあ、セブンの前集合なっ】

久々の学校だからなのか
絢人からの返信はいつにもまして速かった。


────────────

「梨心~!!!!」


遠くで絢人の声がした。

黄色の自転車に乗って、こっちに手を振ってくる。
そういえば絢人は自転車組だったのかっ
いや.....しかも方向とか真逆なんじゃ.....

私絢人にめっちゃ悪いことした.....。

「絢人おはよ!....もしかして絢人の家って、あっち方向....?」

恐る恐る聞くと

「ん?そうだよ?」

なんにも気にしてないようなそんな素振り。

「ごめんね...知らなくて!一緒に行こうとか言っちゃった....」

「はぁ?気にしてないわ。っつか、こんくらいの距離、余裕だわ!心配すんなー」

と微笑んだ。
はぁぁ、神様~...絢人様の笑顔が眩しいのでコントラスト調整してください....。

そんなことを考えていると
絢人が自転車のうしろをポンポンと叩いた。

???

「乗れよ」

え?乗るの?2人乗りするの?

「いや、いいよ重たいし....」

「うるせえ、女ひとりぐらい余裕だわ!」

絢人がそういうのでしぶしぶ自転車の後にまたがる。

男の人と2人乗りだなんて。
高校生になり、今まで経験したことのなかったことばっかり。

自転車に乗り5分くらいで学校についた。

学校の周りは生徒が沢山歩いていて
自転車に2人乗りしている私たちは少し目立ってしまった。
恥ずかしいな~.....。

「西村と橘じゃん」
「休み明けにラブラブ登校かよ」

などと周囲の声が聞こえてきた。

そんな声とは反対に

「あの2人超お似合いだよね」
「確実にデキてるわ」

だの、私たちが付き合ってる
という声もある。


「俺ら付き合ってる風に見えるんだなっ」

絢人はそう言ってケラケラ笑う。

「やめてよもう」

どんどん学校に来るのが憂鬱になるじゃない。

そうして久々に教室に入る。
案の定、ざわつくクラスメイトに
「えっ....デキてるじゃん完全に」
の声。
あーやだやだ。ほんっとやだ。

絢人~助け.....

っておい!!
絢人は何も気にする素振りは見せずに
机にドカッと座りケータイをいじっている。

そんな絢人を見てクラスメイトの視線は元に戻り、ざわつきもなくなった。

絢人は見た目がかなりいかついことで
周りには少し怖がられているようだった。

「絢人何してんの?」

「ひよこ育ててる。」

どこがいかついのよ。

人は見た目によらないって言うじゃない。
完全にこれよ。
見た目で判断しちゃダメなのに....。

そうこうしているうちにチャイムが鳴り
先生が教室へ入ってきた。

「HR始めるぞ~...って、おっ!
橘は1週間ぶりだなー!って、お!!
西村もやっと学校来たのか、良かった良かった!」

先生はそう言った。
やばい、学校行ってなかったことバレた??
チラっと絢人の方を見ると
目を大きく開いて、
「Why?????」と小声で言ってきた。

「.....ははっ」

私は苦笑いで席につき、絢人とはなるべく顔を合わさないように下を向いて机の中でケータイをいじった。

────ブーブー

【お前学校行ってなかったのかよ?】

あーLINEきちゃった。
もう逃げられない.............。

【まあ、うん、そんな感じ!笑】

【HRの後屋上来いやマヌケ】

絢人は私にそう送り、
ガタッと立ち先生の声を無視して教室を出ていってしまった。

.....怒ったのかな。
私が嘘ついたから......。