ピンポーン。


「お仕事お疲れ様。今日はお家呼んでくれてありがとう。」

彼が迎えに来てくれたから彼の家に到着するまでに話した言葉はこれだけだ。

「適当に座って」

「うん、ありがとう。」

そう言ってソファに浅く腰かける。

広い1LDKの部屋にこれまた大きなキッチン、ソファ、テレビそしてベッドが置かれている。
余計な物は何もないシンプルな部屋。

「はい、どうぞ。」

温かいミルクティーが机におかれる。

「今日遅くなってごめん。明日は休みだからゆっくりしような。」

「ううん、ありがとう。」

半年に一回あるかないかの休みをこの日にしてくれることに胸がキュンと締め付けられる。

そう、彼は私とは違う世界の人。

テレビの向こう側の人。

きっと、いつも可愛いくて綺麗な人に囲まれている。

そんな彼が私の隣にいて私のために休みを合わせてくれる。

それだけで涙が溢れそうになる。