マジでありえねー、このオヤジ。


ホント勘弁しろよ。


こっちはクソ恥ずかしい思いをして言ってるってのに。


「悪い悪い。恥ずかしそうに言うお前が可愛くて……つい。つーか、真っ赤だぞ」


オヤジはさらに目を細めた。


「黙れ!赤くねーし!この部屋が暑いだけだ!」


「まぁまぁ、そうムキになるなって。わかりやすくて可愛い奴だよ、お前は。俺にそっくりでウケるし」


「ウケるって……マジメに話す気ないだろ?俺は、春田のことが知りたいんだよ」


「言っただろ?それは言えないって。本気で好きなら、諦めずに頑張れよ!じゃあ、もう寝ろ。俺も風呂入って寝るから」


「はぁ?結局言えねーってなんだよ!俺だけ言い損かよ!」


このクソオヤジ、最初から言う気はなかったってことかよ。


聞き出すだけ聞き出しやがって。


マジ、ありえねーし。


「男ならごちゃごちゃ言わずにまっすぐぶつかれっつーの。俺はまぁ、応援してるとだけしか言えねーな」


「……んだよ、それ」


まっすぐぶつかれって……。


その前に逃げられたんだよ。


「生きてりゃなんでも出来るだろ?後悔のない人生にしろよ」


「はぁ?」


「時間はあるようで短いんだからな」


「なに言ってんだよ。意味わかんねーし」


ふとオヤジの顔を見ると、なぜかとても悲しそうな目で俺のことを見ていた。


なんだよ……?


なんか言いたいことがあんのかよ?


なんで……そんな目で見るんだよ?


わけ、わかんねーよ。


それ以上何も言えなくなって黙り込むと、オヤジは「早く寝ろ」と言い残して寝室に消えた。