「いくら家族とはいえ、患者の個人情報は教えられない」


「そんなのわかってる。けど、あいつのことがどうしても気になるんだよ……!」


必死な俺を、オヤジはとても真剣な目で見つめて来る。


まるで、心の中を見透かそうとしているようだ。


なんだよ?


なんかあんのかよ?


んな目で見られたら、気になって仕方ねーだろ。


なんなんだよ!


「お前は……その子とどういう関係なんだ?」


「どうって……ただのクラスメイトだけど」


目を合わせているのが居た堪れなくなって、軽くうつむいた。


オヤジと真面目な話とかしたことねーし。


それに、まともに話せるわけねーだろ。


「ただのクラスメイトか。とても、そんな風には聞こえないけどな」


「…………」


そんなの……言えるかよ。


オヤジに言うなんて、ハズすぎる。


拳をグッと握り締めた。


「言えないのか?」


くそっ。


こうなったら、もうヤケだ。


「片想いしてんだよっ!春田のことが好きだから……気になって。それで……」


あーもー!


マジで親にこんなこと言うとか……ハズすぎてやべー。


穴があったら埋まりたいレベルだ。


「くくっ」


「な、なに笑ってんだよ!クソオヤジ!」


口元を手で隠して大笑いするオヤジを睨み付ける。