キミの笑顔が見たいだけ。



「よしっ!景気付けに今からカラオケ行って、パーッと騒ごうぜっ!」


「そんな気分じゃねーよ」


「バーカ。だから行くんだろうが」


半ば強引に陽真にカラオケへ連行され、はしゃぐこいつらを横目にぼんやりしていた。


こいつら……自分たちが楽しみたいだけじゃねーか。


はぁ。


こんな時でも春田の顔が頭に浮かぶとか、相当重症だな俺。


恋って……こんなに苦しいのかよ。


くそっ。


春田のことを想うと、全身がすっげー熱くなる。


好きって認めた途端、なんなんだよ。


それから1時間ほど経ったところで、ブレザーのポケットに入れていたスマホのバイブが震えた。


取り出して画面を開くと、SNSのアプリにメッセージが来てることを知らせる通知があった。


送信者はオヤジ。


『生まれた』


たったその一言だけ。


マジかよ。


「晶斗ー、次お前だろ。ほら、マイク」


「悪い」


ーーガタッ


タイミング良く曲が終わったと同時に立ち上がった。


「姉ちゃんの子どもが生まれたから、病院行くわ!陽真、行くぞ!」


「え?は?マジかよ?予定日って、もっと先だろ?」


「知らねーよ。とにかく行くぞ!」


「お、おう!」


急いで身支度を済ませ、陽真と一緒にカラオケを飛び出した。