「しかも、最後のアレはなに?頭撫でるなんて紳士か!ただの幼なじみには見えなかったんですけどっ!」
「あ、あれは、ただあたしをガキ扱いしてるだけだよ……!チビだなって、昔からバカにされてたから。挨拶みたいなもんだよ」
必死に説明していると、教室の後ろでたむろしている矢沢君と思いっきり目が合った。
途端に鼓動が高鳴る。
「ホントに、セイちゃんはただの幼なじみだからっ……!!」
「幼なじみ、ね」
うんうんうんうん。
クミちゃんの言葉に、コクコクと何度も首を縦に振る。
ここで変な噂を立てられたくない。
矢沢君にだけは、カン違いされたくなかった。
「えー、だったらあたしに紹介してー!」
「ずるーい!あたしにも」
「岡田君って、ストイックでカッコ良いよねー!」
ワイワイ、ザワザワ。
セイちゃんのことで騒ぐクミちゃんたちに悪いと思いつつ、意識のほとんどは教室の後ろに集中していた。
矢沢君は高垣君や他の男子と何やら楽しそうに喋ってる。
なーんだ。
さっき目が合ったのはたまたまか。
そりゃそうだよ。
矢沢君があたしのことなんて、気にするはずないよね……。