ど、どうしよう。
まさか矢沢君が引き受けるなんて。
これはちょっと予想外。
チラッと矢沢君の様子をうかがうと、またまた目が合ってしまった。
ーードキン
色気を含んだ綺麗な猫目。
『菜都のことを見てるし』
やだ、なんで今になって花純の言葉が浮かんでくるの。
恥ずかしくてたまらなくなり、とっさに目をそらした。
心臓がバクバクいってる。
大きく深呼吸をして落ち着かせようとしてみたけど、無意味だった。
「すごいね、菜都!矢沢君と一緒だなんてっ!あたし、応援しちゃう!」
「あ、ありがと。でも、花純もお姫様をやりたいんじゃなかったの?」
「いいのいいの。よく考えたら、2人の方がお似合いだし」
「そ、そんな!お似合いだなんて!」
恥ずかしい……。
だけど、楽しみ。
どんな風になるのか、全然想像もつかないよ。
「春田さん、さっきは勝手にごめんな。けど、すっげーいい案だと思ってさ」
その日の放課後、ゴミ捨てから戻るとあたしの席の前で高垣君が待ち構えていた。
矢沢君と違って優しいオーラを放つ高垣君。
親しみやすくて、誰とでもすぐに仲良くなれるのが彼のいいところ。
「あ、うん。大丈夫だよ」
「マジ?怒ってない?」
「あはは、ないない」
「そっか、よかった」
ホッとしたのか、高垣君はさらに目を細めて笑った。
矢沢君とはタイプが違うイケメンさん。
ちょっとドキッとしてしまったけど、矢沢君の時とは全然違う。



