次の日ーー。
親父からチケットと病院の住所が書かれた紙を受け取り、空港へ向かった。
「気をつけてね。なにかあったら、すぐに連絡してくるのよ」
「晶斗は俺に似てしっかりしてるから、大丈夫だろ」
親父がお袋の肩を抱き寄せながら笑った。
だけど親父も医者なりに菜都のことが心配なのか、その笑顔はどことなく元気がない。
そりゃそうだよな。
心配、だよな。
「菜都ちゃんは強い子だもん。きっと大丈夫だから。ほんとに気をつけてね」
「わかってる。春休みが終わる頃までには、帰ってくるから」
そう言い残して、パスポートを手に中に入った。
覚悟を決めたって、怖いものは怖い。
だけど菜都のことを考えたら、会いたい気持ちの方が強かった。
緊張と不安が入り混じる中、俺はアメリカへと旅立った。



