「……わかった。菜都がそこまで言うなら、精いっぱい応援するよ」


おじさんの目から、涙がこぼれ落ちた。


それと同時に菜都の目にもブワッと涙があふれる。


「ありが、とう……っ」


手を取り合って涙を流す2人を見ていたら、俺までもらい泣きしそうになって見えないように背中を向ける。


今まで誰かのために一生懸命になったり、泣いたりしたことなんてなかった。


だけど今なら、大切な人のためならなんだってできる気がする。


菜都のおかげで俺は変わった。


「晶斗くん……菜都のために、ありがとう」


「いや、礼を言うのは……俺の方です」


初めて本気で好きになった。


人のためになにかしてやりたくなった。


失いたくないと、心の底から願った。


この先の未来に、菜都がいないなんて考えられない。


たとえどんな後遺症があろうと、一生眠ったままだろうと、生きていてくれさえすればそれでいい。


それ以上、望むことはなにもない。


だから頼むよーー。


菜都から未来を奪わないでやってくれ。