そして、螺旋階段を上がって2階へ。


2階には小さなキッチンがあって、みんなでくつろげる共有スペースにソファーが置いてあった。


リビングほど大きくはないけど、テレビや冷蔵庫まで置かれている。


晶斗はそこから飲み物を出すと、「こっち」と言ってあたしの手を再び引っ張る。


四方にドアがあって、一番手前の部屋がどうやら晶斗の部屋らしい。


「わー、広い。綺麗だね」


中は10畳ほどの広さで、あまり物がなく小ざっぱりしていた。


「昨日、必死で片付けたからな」


「へえ、そうなんだ」


「うるさい家族で悪いな。菜都に一目会わせろって聞かなくて」


「ううん、全然だよ。みんな優しくて安心しちゃった。特にうちはお母さんやお姉ちゃんがいないから、いたらこんな感じなのかなって考えてた」


「そっか」


「うちのお母さん、あたしが4歳の時にトラックにはねられて死んじゃったの。それからは、お父さんと海生の3人暮らしでさ。こんなに賑やかなのは初めてだから、なんだかいいなって思ったんだ」


「そっか。賑やかっつーか……ただうるさいだけだけどな」


「そんなことないよ。いい家族じゃん」


あったかくて優しい、そんな家族に囲まれて育ったから晶斗はこんなにまっすぐなんだね。