あたしにとっては、どうでもよくなんかない。
真剣に見返すと、晶斗はたちまち視線を宙に彷徨わせた。
「俺……すっげー単純だから、こうやって向き合ってるだけでもドキドキする。菜都が照れてんの見るだけでも幸せだし、笑ってんの見たら可愛いって思うし。普通に触りたいとか思うし……って、俺はなに言ってんだ。答えになってねーし……キモいよな」
「ぷっ、あは……っ」
「なに笑ってんだよっ」
「だ、だって……なんか素直で可愛いなって」
「お前がどうでもよくないとか言うからだろ」
「あはは、ごめんごめん」
スネたような顔が可愛くて、思わず笑ってしまった。
そんなあたしにムッと唇を尖らせる晶斗。
「笑ってられんのも、今のうちだからな」
「えー、なにそ……れっ」
突然迫ってきた晶斗の顔に驚いて目を見開く。
「んっ」
キスされるーー。
そう思ったのと、唇が触れたのはほぼ同時だった。
柔らかい唇の感触に、ドキンドキンと鼓動が高鳴る。
信じられない気持ちでいっぱいで、でもなんだか心地良くて。
慣れたように目を閉じてあたしにキスをする晶斗から、目が離せない。
ど、どうしよう……恥ずかしすぎる。
心臓がはち切れそうだよ。
ファーストキス……しちゃった。
知らなかった。
唇ってこんなに柔らかいんだ。
どれくらいそうしていたのかはわからないけど、実際は数十秒くらいだったと思う。
っていうか、どうやって息するの……?
わかんないよ……。
「ん、んーっ……」
苦しくて思わず唇を離した。
「はぁ……はぁ」
大きく息を吸い込んで酸素を取り入れる。
ドキドキして、落ち着かない。