キミの笑顔が見たいだけ。



そっか。


矢沢君はセイちゃんみたいな暑苦しいタイプは苦手なのか。


チラッと矢沢君の横顔を盗み見るとーー。


「バーカ、他の男に触ってんじゃねーよ」


「いたっ」


頭をグーで小突かれた。


どこかスネたような矢沢君。


不謹慎だけど、少し可愛いかも……なんて。


「おっ、出ましたー!晶斗の嫉妬!岡田に対して、かなり敵対心持ってるもんな。ははっ」


「そんなんじゃねーし……!」


「はいはい、意地っ張りな奴め」


「うっせーな。関係ないだろ、お前には」


なんだかんだと騒ぎつつ、楽しそうな2人。


嫉妬……って。


矢沢君があたしに?


セイちゃんと仲良くしてたから?


あのクールな矢沢君が高垣君にムキになって言い返してる。


なんだか新鮮な一面を見た気がして嬉しい。


「あんなに感情豊かな矢沢君、初めて見たかも。よっぽど菜都のことが好きなんだね」


「そ、そうなの、かな?」


恥ずかしくなってうつむいた。


すると、花純が隣でクスッと笑う。


「よかった、菜都が幸せそうで」


「え?」


「幸せそうな顔してるよ、今の菜都」


「えー?そう、かな……?」


なんだか、照れくさいや。


「うん、全然違う!矢沢君に全部話せてよかったね!あたし、それ聞いてホッとしちゃった」


自分のことのように喜んでくれる花純に、言いようのない気持ちが込み上げる。


ちゃんと話そうと思ったのは、花純のおかげでもあるんだよ。


ありがとう。