「時間はあるようでない、か」


けど、これ以上どうしろって言うんだよ。


菜都は何かを抱えているはずなのに、俺に話そうとしない。


『矢沢君……あたし……あたしっ』


そう言って泣いていたあいつ。


多分、俺に何かを言おうとしてたんだろう。


気になる……けど、聞けない。


この前聞いた時だって、はぐらかされたしな。


映画を観て泣いていた菜都の横顔が頭に浮かんで、なぜか胸が苦しくなった。


病気……とかじゃないよな?


悪いけど、簡単に消せる気持ちじゃねーよ。


とことん頑張るって決めたんだ。


あいつのことならなんでも知りたい。


本音を見せろよ。


全部、受け止めてやるから。