シンデレラに憧れて


「仕事が終わってから会議室を使って、講師を呼び勉強しようかって話。講師もうちの会社の人達だけどね、カルチャースクールを無料で会社で受けましょうって内容。いいと思わない?」

思わない……って素直に言いたい。

「初日は文学で経理の佐々木課長が講師。芥川龍之介マニアなんだって」

芥川龍之介
あぁ
吾輩は猫であるを書いた人だ。
すぐ浮かぶ私ってスゴい。

うんうんと私がうなずくと、中西さんは嬉しそうに

「室岡さん、芥川龍之介好き?」って私に聞く。

「楽しい話を書きますよね」
読んでないけど題名は知ってる。
猫が吾輩ってウケるでしょう。

すると中西さんは顔を輝せ「すごい室岡さん。芥川を楽しいなんて深いわ」って喜び、同僚は不思議そうな顔で私を見ていた。

「部長とか常務までヤル気なの。色んなマニアの人達に講師になってもらって勉強したら楽しいなって話。予定では簡単なドイツ語フランス語。百人一首から株の話。ギリシャ神話にストレッチの基本とか。ジャンルも色々あり」

中西さんはペラペラと話をする。

「参加は自由です。詳しい内容がわかったらまた教えるね。よかったら参加して無料のスキルアップ」

そして同僚の肩を叩き

元気にまた行ってしまった。

私達はお勉強会の紙を見て
互いに顔を合わせて「げーっ」と言う。

お勉強なんて冗談じゃない。

貴重な自分の時間に、なぜ頭を使わわなきゃいけないの?

不思議だなぁ。