「イツキ、大丈夫かな？」


天真の口から出て来たあたしの名前にドキッとする。


「天真は、イツキのことがそんなに気になるのか？」


試にそう聞いてみた。


「当たり前だろ。イツキの事俺たちずっとイジメてたんだぞ？」


怒ったような口調になってそういう天真。


あたしは驚いて天真を見つめる。


天真と浩志は穂月たちがいない時はあたしをイジメたりはしてこなかった。


それなのに、こんなにも気にしているのだ。


「……イツキをイジメてたこと、後悔してるのか？」


「当たり前だろ？　あんなこと、したくなかった」


そう言い、しかめっ面を浮かべる天真。


それを見た瞬間、心がスッと軽くなるのがわかった。


天真はイジメに参加したくなかった。


きっと、浩志も同じ気持ちだったんだろう。


穂月への愛情があったから、穂月のそばにいたいと思い、その方法を間違えてしまったんだろう。