また、三人でため息をついて、お酒を飲んだ。



そのとき、お店にカップルらしき二人が入ってきた。



丁度、私の視線の先。それは翔くんと、大学生っぽい、女の子だった。


翔くんと彼女の手は、恋人繋ぎで、結ばれてた。翔くんが彼女に向ける視線は、恋する男の優しい笑顔だった。


手が震えて、声が出なくなった私に、翔くんはまだ気がついていない。



彼女の声が聞こえた。



翔、何食べようか?



ここは、オイスターが美味しくて有名なんだよ。



翔くんの声は、心なしか、優しい。あたしと話すときよりも。



あたしのテーブルを通り過ぎるときに、翔くんと目があった。



翔くんは明らかにびっくりして、それから、会釈だけした。



さすがに無視はしないんだ。



あたしは、ちょっと震えながら、二人を見た。