「まぁ、笑うのもこの辺にして、本題に入ろうか」
大笑いしたと思ったら急に真顔になりそう言った
俺と成津谷は真剣に音葉先輩を見た
「1つ目は分かるだろう
約束を破ったことだ...
病気が治るまで会うなと言ったんだ、
俺は...
それを成津谷も知っていた筈だ
2つ目は、音乃を怒らせたことだ」
そう言われて俺達は驚いた
怒らせたことに怒るのはよくわからないからだ
でも、俺達は話に水をさせる訳もなく
ただ黙って聞いていた
「音乃はな、俺の調査結果では未だに本気で怒ったことがない子だ
それをお前らが怒らせた...
3つ目はな、今音乃を家に1人にさせている事だ!
お前ら2人が出てきたら、家には独りぼっち...
それがどんなに辛いのか...
あの子には分かって欲しくないから
1つ目の怒りは抑えていたんだ
なのに...」
そこまでで俺は
「それ、あんたが言う?」
と言ってしまった
すると先輩は
「どーゆー意味だよ?」
そう聞いてきたので俺は思ったままを言ってみた
「音乃は兄貴が自分に会いに来てくれるのをずっと待っていた...
それなのに翼梅が現れて、兄は自分の顔なんか見たくないんだって悲しくなって、毎日毎日家では遊んでいる時以外は暗い顔しかしない!
両親の顔も兄の顔も見たことないんだよ!
ずっと兄だけでもいいから会いたいと願っているんだよ
なんで分かってやれないんだよ...
兄に嫌われてるんだって何年も生きてきて、それでも1度でいいから兄に会いたいと思う音乃の気持ちなんてあんたには分からないだろうな!」
そう言うと音葉先輩は
「違う...
俺を拒んだのは音乃だ
俺は元々あの家に帰る予定だったんだ...
けど...
一度翼梅に聞きに行かせたら俺には会いたくないと言ったそうだ...
俺はだから遠くから見ることしか出来なかった...
遠くで、見守っていた...
あいつが幸せになるようにと思って...」
そう言うと成津谷が
「音乃様は、ずっと家族に憧れを持っていました...
私に音乃様は、なんで旦那様も奥様も音葉様も近くにいないのか、周りの子はみんな家族がいて羨ましいとおっしゃった事があります
その時はなんて答えていいのかわからずに誤魔化しました
それでもちょくちょく泣いてこんな家は嫌だと暴れたこともあります」

