"昨日はいつの間にか裕司がいなくなっていた



兄がどんな人なのかとか成津谷の事とか両親の事とか聞きたいこと沢山あったのに...



私が怒ったから帰ったのかもしれない...



「な、成津谷?」



少し不安になって、後ろにいる成津谷に声を掛けた



「なんでしょう?」



そう言われてさり気なく聞こうと思っていた言葉が全て飛んでいってしまった



「なんでもないわ」



そう言うと成津谷は察したのか急に独り言のように



「そーいえばー
今日は裕司様が学校から家に帰ってから着替えてこちらに来ると申していたな〜
でも、昨日来た時に音乃様が御機嫌を損ねてしまったからお断りでもしようかな〜」



なんて聞こえるか聞こえないかくらいの声で言っていた



だから私は意を決して



「別に、今日はやる事も特にないから...
裕司の相手をしてあげてもいいけど?」



そう言うと成津谷は笑いながら



「そうですか、ありがとうございます
では、その様にお伝えいたしますね」



と言うので私は伝えなくていいと学校に行くまで何度も何度も言っていた"