「お疲れー!」
「お疲れさんー!」
「翔!今日も良かったよ!」
「サンキュー」
ライブが終わって、控室に戻った。
とにかく熱い身体に、冷たい水を流し込んでやる。
他のメンバー達も、同じように達成感に満ちている。
「なぁ、一番後ろにいた女の子見た?」
「あー!あの茶髪で巻き髪の女の子だろ?
見た見た!マジ可愛かったよな!」
「俺かなりタイプなんだー、あーゆー子」
「ライブ慣れしてなさそうで、初々しかったしな」
メンバー達が話してる「女の子」が誰の事なのか
俺にもすぐにわかった。
「なぁ翔。お前も見たか?!」
「あぁ、見たよ」
「また来ないかなーあの子。
俺マジ気に入っちゃったよ」
「だーめ。
アイツ、俺のだから。
手ぇ出すなよ?」
「…は?」
俺の言葉に、ぽかんとするメンバー達。
「ちょ…あの子もしかしてお前の女?!
だってお前彼女いないって…」
は…何マジになってんだか…。
…あぁ、マジで一目惚れしちゃってたのね…。
「いつまでも女の話してないで、打ち上げ行こうぜ!」
その場は真の一言で終わった。
真…麻生 真司<アソウ シンジ>は、俺の一番の親友で、バンドのドラマーだ。
高校も同じだったから…当然今話題になっている「女の子」の事も分かっているはず。

