「なあ、琢に頼みあんだけど」

「頼み?なに?」


「あのさ、時間あるときでいいから、俺に勉強教えてくれないか」

「えっ……賢太くん、勉強すんの?」


なんだ、その顔は。まるで俺に勉強なんて似合わないとでも言いたそうだ。

確かに俺は老けて見られることが多いけど、一応まだ高校生だ。勉強してナンボだろうが。


「別に俺は構わないよ。でも賢太くん、ようやくやる気になったんだね」


今でも授業中は、相変わらず寝て過ごすことも多い。それでも各教科でノートの提出があったから、ノートだけはこまめに琢のノートを写していたのだが。


ノートを写しながらぼんやりと思っていた。

多分このままだとまずい。テスト前に焦って勉強したところで、もう追いつかないところまで来てしまっている。