「去年か。ってことは若ちゃんもだね」

やべ、余計なこと言ったかもしれないな。なんかこの人勘が鋭そうだし、石川が若を好きなこと気づかれたかもしれない。

まあ石川もあんだけ驚いた顔してたから、悪いんだけどさ。


「なるほどなるほど。ま、わかったよ。さて、私もそろそろ帰るかな」


やっぱりバレてる。石川すまん。

まあでも、このことで石川と面識のない修香さんが若に何か言ったりすることはないだろうから、石川も気にするな!……ダメか?


「じゃあまた来るね。今度はゆっくり話でもしよっか」


修香さんの背中を呆然としたまま見送る。

ふと我に返ると、俺は一つ疑問が浮かんだ。石川のことで今まで気づかなかったけど。


こんな雨の日に、学校にも用があるわけじゃないのに、修香さんはわざわざ一人でここに来たんだ。

彼女は本当にコーヒーが飲みたかっただけなんだろうか。


もしかして彼女は俺に会いに来てくれたとか……なんてな。