店に戻ると、一組のカップルが来店していて、テーブル席に着いていた。

「もう注文はとってあるから、隼は食器片付けておいて」


おばさんからそう指示されたので、俺は一言「いらっしゃいませ」とだけ声をかけ、空になったカップを片付ける。


修香さんの後ろを通ると、かすかにシャンプーのいい香りがした。


「傘、間に合った?」

「あ、はい。まだ近くにいたので」

「あの子、私のこと知ってるみたいだった」

「さあ?生徒会だからじゃないですか?」


そっか。多分石川は修香さんを知っていたんだ。

俺だって生徒会行事の度に、若と修香さんが二人で作業しているところを見たことがある。


「可愛い子だったよね。同級生?」

「去年同じクラスだったんです」