あの後、私の頭の中は、恐怖でいっぱいだった。
いつもなら、私の頭の中は、アニソンとかが流れていたり、大好きなキャラクターの名台詞が流れていたり。

アニメやゲーム以外の事が、私の頭の中を完全に支配するなんて、初めて…………



家に帰ると、案の定お母さんは……………………


「ちょっとあんた!どうしたの!何でケガ……」

「っ……階段から落ちただけ。派手に落ちてしまってさー。」




『イジメ』とさとられるのが怖くて、そう強がるのが必死だった。




「テスト近いから、さっさと着替えて勉強してくる」


そう言ってお母さんの近くから逃げ出し、自分の部屋に入ると、ほっとして胸を撫で下ろす。






…………しかし、安心出来るのもつかの間。
スマホを見ると……

「なにこれ……ラインの通知が大量に来てる……」


通知バーがラインの通知で埋め尽くされている。

その量に私は唇とスマホを操作する指を、わなわなふるわせる。

怖い……

怖い……

怖い……!



心臓の鼓動が聞こえる。

冷や汗が出てくる。

ラインの通知をタップする手が、画面スレスレで止まり、震える。

通知をタップしたら、ラインが起動する……


ポロリと一粒の涙が画面に落ちた。


それを拭き取ろうと、私は思わず制服の袖を画面に……


「あ……!」


ライン……起動……しちゃう……


でも、何で私は『戻る』をタップできないんだろう……