「『村田チヒロ』は、小学校の歴史に残る有名人です。」

」私の学年では誰もが知っています。
……もちろん、私がその妹だってことも、みーんな知っています。
……私、その理由でいじめられてるんです。」

「そんな……アヤハちゃんは悪くないのに……ね、先生は何か言ってくれないの?」

「先生は、『村田チヒロ』の事をどの児童よりも詳しく知っているんです。先生全員。お姉ちゃんがどんなにひどいいじめっ子か、全て知ってるんです。
なので、先生も、『村田チヒロ』の妹である私の見方はしたくないんです。
廊下ですれ違うだけでにらんでくる先生だっていっぱいいますよ。」

「それに、近くにある『第一小学校』と『第二小学校』、『第四小学校』も、この事を知っているんですよ。
お姉ちゃんと私の顔まで知っているそうです。
だから、この辺りに住む小学生は全員怖いです。」

「そうなんだ……」


















「……風、気持ちいいね……。」

「もう11月中頃になって、すっかり冬ですね……。」

「ほっとするね……この風……」

「……あの、レイカさん、私、何か忘れている気が……」

「そう言われれば私も……」

「……」

「…………」

「なんだっけ……」

「わかります?」

「わかんない……」



「あーー!!」

突然アヤハちゃんが立ち上がった。

「学校です!学校!」

……学校?

あ!!や、ヤバッ!


「アヤハちゃん、急ごう……あ……」

「レイカさん?」

「ねえ、ゆっくり歩いていこう。」

「どうしてですか……??」

「だって、いじめられてる時間が少しでも減るじゃん。」

「あ……そうですね!レイカさんすごい!」

「へへ……っ」