既読スルーはナシね

「はぁー……」

帰り道。夕焼けが綺麗です。


私は公園に入り、どんどん奥へ進み、誰もいないことを確認した。


「うん、いける。」

弁当箱を出す。

フタを開ける。

ひっくり返す。

ボトボトボトッ。

今日はあんなことがあったから、弁当は一口しか食べられなかった。


家に持ってかえったら、心配されてしまうから、公園で捨てることにした。

勿論、あんなことがあった公園とは別の公園。




……足元には、お母さんが作ってくれた弁当の中身。

いつもの白ご飯。

昨日の唐揚げ。

同じく昨日の残り物のひじき。

スーパーで安かったらしいリンゴ。

ちっちゃい頃から大好きなマカロニサラダ。

友達から教わったらしい切り干し大根。




お母さんが朝早くに作ってくれたのに、それを私は捨てている。

白ご飯達が怒っているようにみえた。

白ご飯達が泣いているようにみえた。



なんだか泣きそう……


私は公園の草むらに落ちた唐揚げを一つつまんだ。


そしてそれにキスをして、そっと戻した。

自分でも何をしているのかわからないけど、体がそう動いた。