私も負けじとココアを飲み干すと、男性が言った。
「あ!そう言えば名前まだ聞いてなかったけど」
男性は私のコップを受け取り、流し台に持って行く。
「えっと、神崎優菜」
なんか改めて名前聞かれるの、恥ずかしい。
「俺は松本雅之!あ、連絡先交換しようぜ」
松本雅之は私の返事も聞かずにポケットからスマホを取り出す。
まぁそれくらいはいいかと私も鞄からスマホを取り出すと雅之がまた笑い出した。
「スマホカバーもチョコレート柄かよ。どんだけスイーツ好きなん」
「う、うるさい!」
この人は優しいけど、人をからかう時すごく嬉しそうな顔をする。

結構、イジワルなのかもしれない。

そのあと、雅之は「休憩時間終わったから行くわ」と言って店に入っていった。
”好きなだけくつろいでていいから”なんて言われたけど、人様の家で1人でいるのも気が引けるのでそそくさとお暇することにした。

もう、足の痛みはすっかりなくなっていた。