結局この日は、ゲームばかりしてあまり会話をせずに終わった。

だが、ゲームは割と楽しかった。2人と比べてゲームがド下手な私に2人はハンデをくれて、なかなか楽しく遊べた。

それに、顔を見ずに画面を見ながらなら、誠司さんとも普通に話せたし。
なんかわたしもゲーム、欲しくなってしまったな……

ゲームの途中、思わず「誠司さん」と呼ぶと「さんなんてつけなくていいから」と言われたので誠司くんと呼ぶことにした。

誠司くんの家を後にすると、外はもうすっかり夜だった。今日は星がキレイ。雅之くんは空を眺めながら鼻歌を歌っている。

私は、今日1番聞きたくて聞けなかったことを雅之に聞いてみた。
「誠司くんと雅之ってどうやって知り合ったの?」
すると、雅之は鼻歌を止めて答えた。
「んー、偶然知り合ったんだよ」
「偶然?」
「こう、道の角でぶつかって、知り合った」
「いや、嘘でしょ!なにその少女漫画みたいな知り合い方」
話、誤魔化されたなと思った。
私はどうやら答えたくないことを聞いてしまったみたい。

「誠司さ」
雅之が話しだす。雅之の声はやっぱり落ち着く。静かな夜だと、余計に雅之の優しい声が引き立つようだった。
「もうずっと、引きこもりなんだよ。3年くらい」
「うん」
私は歩きながら雅之の方を見た。雅之の目は、星を見ていた。
「あいつは引きこもってちゃだめなんだ。もう23なのにさ。過去のトラウマずっと引きずってて人との関わりを拒絶してる。すげーいい奴なのにもったいないよ」
”ま、今日お前とはしゃいで、少しはあいつにも良い刺激だったと思った”
そう言うと雅之は足を止め、私を見た。

「お前が、あいつを元気にしてやってくんね?」
雅之の目は泣きそうなのか、キラキラしていた。