「優菜ちゃん、これ5番テーブルに運んで!」
小百合さんが私に差し出したのはキャロットタルトとレモンティー。
私はそれを受け取り、お客様のもとへと運ぶ。

「お待たせしました!キャロットタルトとレモンティーになります。」
なるべく音を立てないようにお客様の前に皿を置く。フォークはなるべくお客様が手に取りやすい位置に。
これは私が慣れるまでで1番大変だったことだ。
今はようやく慣れ、以前よりかは素早く丁寧に出来るようになった。
「ごゆっくりどうぞ」
一礼をし、奥に戻る。そうすると、もう次の品が出来ていた。私はそれをまた運ぶ。基本はその繰り返し。

でも最近は、レジも出来るようになった。
お帰りの際、お客様が「ご馳走様。すごく美味しかった」なんて言ってくれる時もあり、作っているのは私じゃないのにすごく嬉しい気持ちになった。

うん、私がやりたかったのはこういう仕事なんだ。美味しいもので誰かを幸せにする。その、お手伝い。

時々ミスもしてしまうが、すごくやりがいもあってこれが初めての職場なのに、天職じゃないかとさえ思う。