野良クローンの東夷くんが街に溢れると、いくらイケメンとはいえ、同じ顔のクローンが沢山いると、人々はパニックになるだろう。

人々は精神に異常をきたして、それはやがて集団狂気となり酷い場合は、正常に判断出来ないわけで、殺戮さえおきるかもしれない。

そこまでいかなかったとしても、野良クローンの中には高度な知性を持つものたちが出てくるかもしれない。彼らは徒党を組み、我々人間に対して、クローンの権利を主張して、宣戦布告をしてくるかもしれない。

彼らのクーデターにより、日本は消滅、世界侵略に乗りだして、世界を征服するようになるかもしれない。イケメンクローンは兵器にもなりうる存在なのだ。

そして。理央の家にいた東夷くんクローンも政府により回収されることになった。何でも一部欠陥品が出て、リコールがかかったからだ。

私は涙にくれる。愛する東夷くんがクローンとはいえ、スクラップにされるのだから。

「一緒に海に行こうって、東夷くん(クローン)の海パンに刺繍を施したのに残念だわ」そして愛するクローンの東夷くんはこう言うの。

「君を忘れないよ。これはスクラップになるまで大切に履いているからね」

お餞別が海パンだった事で、少し涙は薄れたけれど、私が愛したクローンの東夷くんは本人そのものなのに、スクラップだなんて。

警察が我が家にやって来て、私の東夷くんクローンは連れていかれたの。なのに、意外な場所で彼の無事を知り、ハッピーエンドを迎える事になるなんて。