入学式が終わると、たちまち女子たちが
うるさくなった。
「やっぱ、噂に聞いてただけあるね~」
「私、颯汰様狙いでこの学校来たんだもーん」
「何もかも完璧すぎる...」

周りはそんな声ばかりだ。



...何か、あの顔...どっかで見た...様な...



ふと思っていると、いきなり「キャー」という女子たちの声が聞こえる。耳が痛いほどの歓声だ。

「ごめんね、ちょっと通らせてくれるかな」

...生徒会長だった。

近くで見てもやっぱりカッコイイな...。
思わずみとれてしまった。


そう思いながら生徒会長を見ていると、
ふと目が合った。

「あれ、お前って」

心臓がドキッと鳴った。
私に言ったわけじゃないかも
しれないのに。

じゃあ、誰に言ったの?
後ろを見ても生徒会長の問いかけに答える人はいない。

「私...ですか?」
ドキドキを抑えながらおそるおそるきく。

「そんなかしこまんなよ、秋菜。」

いつもの口調じゃない生徒会長に
戸惑う周り。

.........秋菜???秋菜って言った?
そして、呼び捨て??

.........まさか。

「颯汰...?」

私がそう言うと颯汰はにこっとして言った。

「気づくの遅いよ(笑)まったく...、鈍感なのは変わらないんだね。」

「え、うそ、あの颯汰なの!?」

「そうだって言ってるじゃん?」

こんなにヒントがあったのに、何で気づかなかったのだろう。
颯汰だと確信した瞬間、なぜか安心してきて、涙か溢れてきた。

「ずっ、ずっと、会いたかった...」

「泣くなって...。......俺もずっと会いたかった......。」

薄く涙を浮かべながら、
颯汰はそう言った。