またトラックの荷台に乗り、来た道を帰る。
行きと変わらず、緑の色は深くて風をきって走るトラック。新鮮な空気も何も変わらなくて。
生ぬるい風をかき分けて、綺麗な奥さんの待つデカい家まで帰ってきた。
「おかえり!疲れたでしょ?すぐご飯にするからね。」
奥さんは朝と変わらない笑顔であたし達を出迎えてくれた。
それぞれ海の家で着ていた汚れた服を着替え、楽な部屋着に着替えて居間に戻ると、テーブルにたくさんの料理が並べられていた。
多分夕方くらいから作ってくれていたのかな。
「みんなの好み分からなくて、定番のものにしちゃった。口に合わなかったら残してね?」
奥さんはそう言うけど、きちんと煮込まれたビーフシチューはめちゃくちゃ美味しかった。
その証拠にシルクと村上はお代わりしまくって鍋を空にしてるし。
「全部食べてくれてありがとう〜!」
奥さんはそう言って笑う。いい人の塊だな。
「さすがに俺はそこまで食えねえ…。」
「アンタもうおじさんなんだから。」
「いや俺そこまで老いてなくね?」
新井川夫妻のやり取りは、聞いていて何だか楽しかった。
食事中も騒がしく過ぎる時間は、初対面とは思えない。
美味しさだけでなく、人の温かさに触れた瞬間だと思った。


