袋から取り出した緑の小包装はあたしから離れ、弧を描いて宙を舞った。
右手でそれをキャッチした南は「ありがと。」とだけ言ってまた輪に戻っていく。
「オレンジ。」
急に後ろから聞こえた声に振り向くと、そこにいたのはシルクだった。
「またサボり?」
「そ。」
その場に座ったシルクにオレンジ味の飴を渡した。
寝そべっていた瞳も上体を起こす。
そのまま3人でバカみたいに他愛もない話をした。
久しぶりにこんなに笑ったかも。
「シルク!お前またサボったな!」
「お腹痛かったんだよ、センセー。」
担任の怒号もどこ吹く風で、練習期間はあっという間に過ぎていった。
気づけば目前に迫る球技大会。
ちょっと楽しみ。