「意外とマメなんだね〜。」
「ん?」
瞳の言葉に首をかしげる。
「南だよ。こんなことする男の子ってなかなかいないのにさ。」
「ま、確かにね。」
瞳と適当に飴玉を選んで口に放り込む。
ピーチと書かれたピンクの小さなビニールは、桃の風味を引き立たせた。
「女慣れしてるか、親の躾が行き届いているか、どっちかかな。」
瞳はそう言うと、舞台に寝そべる。
ま、実際どっちだっていいんだろうけど。
そう思いつつあたしは広い体育館を見渡した。
練習という名の遊びだけど、放課後もみんな集まって練習だなんてすごいよな。
球技大会が終わるまで、授業は繰り上げになるし、放課後2時間は練習の時間にあてられるという学校のよく分からない制度だけど。
はしゃぐ声が眩しくて目を向けると、先生も一緒になってドッジやってて何だかみんなが楽しそうに見えた。
目が治ったらあたしも混ざろう。
ざわつく室内で向こうから駆けてきた南が段々近づいてくる。
まだ何か用あるのかな。
舞台に座るあたしの目の前に立った南は、空の手のひらを差し出し何かを催促する。
それがメロンの飴だってことは分かってるよ。


