保健室内を勝手にゴソゴソしてると、椅子に座った2人が会話を弾ませている。
と、完全に眠気が覚めたのか、さっきまで仮眠をとってた奴があたしに話しかけた。
「お前、名前何てーの?」
「…荒井沙凪。1年2組。」
「ふーん、俺、絹旗 綾人(きぬはた あやと)。2組。」
「南 瑛太(みなみ えいた)。俺も2組。」
保健室にいたやつが絹旗で、あたしに遠慮なくボール投げたやつが南か。
「こいつ、シルクって呼ばれてるからお前もそう呼んでやって。」
ボール君改め南が、絹旗を指差しながらあたしにそう言った。
「シルク?」
彼の言う単語を復唱する。
「そ、絹旗の絹でシルク。」
「何でお前が説明してんだよ。」
そう南を小突きながらも、別に嫌そうには見えなかったから、あたしもシルクと呼ぶことにした。


