「さなァ!もっと力一杯投げなさいよ!」
「ご、ごめん。」
「そんなんじゃ負けちゃうから。気合い入れてやってね!」
勘弁してください…。
種目が決まってから2日後。
クラスメートの安田(やすだ)から指導が入る。
クラスの中でも中心的存在の安田は、そりゃ行事にも力が入るわけで、ドッジにも熱がすごい。
つか怒られるのは家だけで十分だよ…。
ほら、家だとおっさんもお姉様も兄貴も説教してくるし。
種目決めの日から、毎日毎日、朝練して昼練して放課後も練習。
まだ2日しか経ってないのに疲れてるんだけど…。
プラス担任も体育教師のおかげで体育の時間も練習に当てられるというスパルタぶり。
練習量異常じゃね?
あ~、早く帰りたい~。
そしてご飯食べて寝たい〜。
なんて無駄なこと考えながら、ドッジをこなしてたら。
シュンッて格好いい音がして、次の瞬間にはもうボールがお腹をストレートヒット。
魔球か!
なんて考える暇もなくて、とりあえずみんなから視線を浴びた。
なに、今の。
あたし軽く飛んだ。
「沙凪!早く外出て!」
「すみません…。」
怒られるし!
あんなボール投げんなよ!
って避け切れなかった腹いせにズカズカと外野に出た。