入学式は寝てたら終わってた。
渚に起こされた時は、もう1組が退場し始めようとしてる時。
そのままボーッとする頭でとりあえず列を崩さないように歩いた。
「由那めっちゃ寝てたね。」
「うん、起きたら入学式終わってた。」
そんな会話を覚醒しない頭で渚とした。
とりあえず教室に戻って、式中に紹介されていたらしい担任と初対面。
60手前ぽいオッサンの自己紹介はものの5秒で終わった。
「俺は甘くないからな〜。1年間ビシバシいくぞ〜〜。」
適当そうな担任の言葉は、廊下から聞こえてくる親の声に掻き消される。
保護者でごった返す廊下が騒がしくて、痺れを切らした先生は教室の中に保護者を招き入れた。
「あ、ママ。」
「渚どこにいるのかわからなくてビデオ撮れなかったわよ!」
「ママ機械下手じゃん。」
渚のママが来たらしい。後で挨拶しよ。
渚と渚ママの会話が聞こえた時、急に横に感じた気配。
なんで…。
パッと見上げた先に立ってたのは紛れもなくおじさん。
「来たぞ。」
そう言って笑うおじさんにつられて、あたしも笑った。


