少しざわつく教室に足を踏み入れる。
黒板に貼られている名簿順に決められた座席表を見て、自分の席を確認した。
1番廊下側の前から2番目…。
2番だもんね、当然か。
振り返って席の方へ行こうとした時、3番の席に座ってる女の子とバチッと目が合った。
ニッと笑った彼女の八重歯が印象的だった。
待ってました、とばかりにあたしが席に着いた瞬間に話しかけてきてくれた3番。
「ねえねえ、この席の子?よろしくね。」
「うん、よろしく…。」
「名前は?あたし、飯塚 渚(いいづか なぎさ)!」
3番が人懐っこく話しかけてくれたおかげで、打ち解けた感じがした。
「で?あなたは?」
「新木 由那です。」
「ユナか!」
「うん。」
「そっかそっか!よろしくね〜!」
飯塚 渚と名乗る3番、改め渚は、入学式が始まるまでの間、ずっとあたしにマシンガントークを繰り広げた。
内容はほとんど覚えてないんだけど。
今思い返せば、あたしの高校生活最初の友達が、渚だった。


