休日に家でくつろいでいたら、携帯電話が鳴った。

相手は倉梯埜々香。

「はい。埜々香か?」

「課長~!!
どうしましょう!気持ち悪いですぅ~!!」

「・・・、どうした?
悪いものでも食べたか?」

「違います!
何か、変な手紙が来たんです!!
私、拾い食いなんてしませんからね!」

「落ち着け。
今、自分の部屋で一人か?
すぐ行くから、俺が行くまで鍵は開けるなよ。

ああ、電話は切らずにこのままでいろ。分かったな?」

取り合えず玄関に鍵をかけ、飛び出した。

アパートは目の前なので、二分もすれば到着する。

「埜々香、俺だ。
入れてくれ。」

「かちょ~!
これなんですぅ!!」

彼女が示したテーブルの上に開かれた手紙があった。

見ると、新聞の活字でも切り抜きしたのであろうバラバラの字が並んでいた。

『カイシヤ ヲ ヤメロ
デテイケ』

会社を辞めろ 出ていけ

そういう事か?

「これ、どうやって手元に来たんだ?」

「鞄に入っていたんです。
覚えがなかったから何だろうと思って開けたら、気持ち悪くて。

誘拐犯の身代金要求みたいな切り貼りですよね!」

「まあな。
身代金は要求されてないけどな。

鞄は会社でどこに置いてるんだ?」

「会社に着いたら、ロッカーに入れます。
昨日は一時間残業だったから、終業時間に持ってきて、デスクの横に置いてましたけど。」

「ロッカーに鍵はかけてるよな?」

「はい。ロッカーの鍵は、デスクの一番上の引き出しに入れちゃってますけど。」

「手紙を入れられたのは昨日だと思うか?」

「、、、、、。
正直、分かりません。
毎日全ての中身を出して確認してる訳じゃありませんし、ロッカーの鍵も開けようと思えば誰でも開けれたでしょうし、鞄を放置して飲み物買いに行ったり、お手洗いに行ったりもしましたし。」