にらみ合うふたり。
一番北の園舎から、園児達のあまりじょうずでない歌声が聞こえている。
「王子様じゃないなら、誰なのよ」
「人様に名前を聞く前に、自分から名乗るもんだろうーがよ」
裕香はふん、と鼻をならした。
「やーね、偉そうに。子供相手にハードル高くしちゃってさ!」
王子モドキが、あきれた顔になる。
「おまえ、いったいいくつなんだよ」
裕香は右手をぱっとひろげて、前に突き刺した。
「私の名前は上月真由(こうづきまゆ)。
天下分け目の5歳児よ!」
「意味わかんねぇ」
「さあ、今度はあなたの番よ偽王子。名前は?年はいくつ?」
「目がふたつに口ひとつ」
「ふざけないでっ!」
ごっ!
鈍い音がして偽王子がひっくりかえった。
裕香の投げたスコップが、偽王子の頭に当たって砂場の外へ跳ね飛ばされていく。
「いったたたたた――――!!!
殺す気かボケ―っ!」
「そっちがふざけるからいけないんでしょう?
さあ!とっとと本当のことを吐きなさいよ!
あなたは誰?なぜピンの中にいたの?」
一番北の園舎から、園児達のあまりじょうずでない歌声が聞こえている。
「王子様じゃないなら、誰なのよ」
「人様に名前を聞く前に、自分から名乗るもんだろうーがよ」
裕香はふん、と鼻をならした。
「やーね、偉そうに。子供相手にハードル高くしちゃってさ!」
王子モドキが、あきれた顔になる。
「おまえ、いったいいくつなんだよ」
裕香は右手をぱっとひろげて、前に突き刺した。
「私の名前は上月真由(こうづきまゆ)。
天下分け目の5歳児よ!」
「意味わかんねぇ」
「さあ、今度はあなたの番よ偽王子。名前は?年はいくつ?」
「目がふたつに口ひとつ」
「ふざけないでっ!」
ごっ!
鈍い音がして偽王子がひっくりかえった。
裕香の投げたスコップが、偽王子の頭に当たって砂場の外へ跳ね飛ばされていく。
「いったたたたた――――!!!
殺す気かボケ―っ!」
「そっちがふざけるからいけないんでしょう?
さあ!とっとと本当のことを吐きなさいよ!
あなたは誰?なぜピンの中にいたの?」

