テストも終わりきった放課後、部活もちらほらと活動を始めていた。新入生を勧誘し、見学に来てもらうためにはテスト後だろうとだるかろうと必然的にせざるを得ないのだ。
 
 私は、というと。
 
 「茶道部です。この後16時半からお茶会を開催します。お時間がありましたらどうぞー!お菓子もたくさん用意してあります!!」
 
 茶道部の勧誘に精を出していた。ただでさえ現在の部員が6名、うち2年生は2人といった状況なのだ。なんとしてでも新入部員を入れなくては。
 
 「すみません、整理券落としましたよ。」
 
 「えっ、あっ、ありがとうございます。」
 
どうやら夢中で勧誘しているうちに、大切な整理券を落としてしまったらしい。拾ってくれたのは新入生の男の子だった。スリッパの色が緑だったし、形からして高等部の子だ。
 
 「......先輩、僕もこの券1枚貰っていいですか?後で絶対行きますんで。」
 
 その時の私はその言葉が嬉しくて。
いいよ!ぜひ!!なんて……。
 私はあの時、券を拾ってくれた男の子を憶えておくべきだったんだ。