天先輩のピアノを聴いてから、3日がたった。
私はぼんやりと教室から外を見つめていた。


(天『この曲は俺が弾いたみたいに、明るい曲なんじゃねぇの?お前にとって辛い曲なら、もうこの曲は弾かない方がいい。』)


3日前に天先輩に言われたことが頭から離れない。いつもいつもムカつくことばっかり言う人が、何だかあの時は優しく感じた。

屋上いこうかなぁ…


あたしはバイオリンを持って屋上に向かった。


キィ〜


バタンッ


「ん〜はぁー。だんだん暑くなって来たなぁ〜。」

私はウィッグを取った。
やっぱりだんだんウィッグは厳しくなってくるなぁ(*´Д`*)


「あ〜涼しい╰(*´︶`*)╯」


♪〜♪〜

「会いたくて 君に叫ぶよ〜♪メロディーにのせて〜♪ーーー。」

私はモヤモヤを吐き出すように歌った。
歌ってると誰かが来る気配がしたので、慌てて影に隠れた。


でも、この気配は結構大勢いる…。
何だろ…。


バンッ!!


ーー!!?
なっ何!?



『てめぇ、あんま調子乗んじゃねぇよ!!』


『調子乗る?別に調子乗った覚えないけど?』

『大勢でしか倒せないようなやつに構ってる暇なんてないんすよ♪』



『黙れよ!!』




あれは!!
天先輩に陵先輩と奏多先輩!?

どうなってんのよ!!

陵『奏多、違うだろ。大勢連れて来ても倒せないの間違えだろ。( ^∀^)』


『何だと!!お前らやっちまえ!!』


3対30ってどうなのよ!!


でも、やっぱりあの3人強い。

いや…2人だねあれは。


陵先輩と天先輩が相手にしてるのに、奏多先輩はベンチで涼しそうにしている。


陵『奏多〜お前も手伝えよ〜(・_・;』



奏多『嫌ですよ。疲れますし、それに私は頭脳派なので…。疲れるものは貴方がたに任せます。』


天『陵、喋ると疲れるぞ。』


あの2人も相当涼しそうに相手してるけど…。


でも、イライラする。
天先輩と陵先輩の戦いに対して非常〜に腹立つ!!私は我慢が出来ずその中に飛び込んだ。


『くたばれ!!』


天『お前がな…。』

天先輩は、襲いかかってきた人を殴ろうとしたところを私が、お互いの拳を止めた。


パシッ!!



天・敵『えっ?』


天先輩たちの反応を聞いて、周りの動きが止まりこっちに視線がむけられた。


「喧嘩したいならもっとさぁ〜効率の良い戦い方しなさいよね!!」


『てめぇ、誰だよ!!』


「お黙り!!貴方たちの拳は弱いのよ!もっと、力だけじゃなくて、重心も使いなさい。」


私の言葉にみんな唖然としている。


「それに、天先輩に陵先輩!!貴方たちに1番イライラするのよ!!そんなに強いのなら、もっと頭を使いなさいよね!!」


陵『君…誰?』


「うるさい!!顔ばっかりやってたら、喧嘩したのバレバレじゃない!!涼しそうに相手するくらいなら、喧嘩したのバレないくらいのダメージを与えなさいよ!!」


私は我慢が爆発して、あれこれ口を出した。

『てめぇ、女の分際で邪魔すんじゃねーよ。』


「あんたも私をそこら辺の女だと思ってんじゃないわよ!!」


私は相手の拳を避けて、相手の腹の溝を思いっきり拳を食い込ませた。
相手は地面に倒れ込み、のびた。
相手の仲間はそれを見てどんどん私に襲いかかって来たが、わずか10分しないくらいで全員のびた。


「なめんなよ!」


丁度終わったころ、屋上の扉が勢いよく開いた。


翼『奏多さん、天先輩、陵先輩大丈夫ですか!?』

奏多『大丈夫です。』

翼『えっ!?今回、早いですね。30って聞いたので、急いで来たんですけど…。流石です。』


翼はすごくびっくりしているが、当然みたいな顔をしていた。

奏多『いえ、大半はこちらの方が1人で始末してました…。』

翼は奏多先輩の言葉を聞いて、私の方へ視線を向けた。

翼『えっ?この女がですか?知り合いですか?』

3人『いや、知らない。』


翼『お前誰?』


何を冗談いってるの?と言おうと思った時、風で髪の毛が目の前を塞いだ。そして髪の毛を見て目が丸々になった。


「あ〝〜〜!!」



ヤバいウィッグつけ忘れた!!

でも、今回は助かった。

黒髪でやったらそれこそヤバい。
真面目ちゃんやってたのに台無しになる!!


翼『うるさっ!本当に誰?あんた…』

「……。」

天『つか、お前この間の…。』

陵『天、知ってるのか』

天『寮の池の近くで、何度か見たことある…。』

「あっ私はこれで失礼!!」

私は逃げるように扉に向かって歩いた…

パサッ

翼『おいっ待て!なんか落ちたぞ!』

私はお構いなく扉のノブに手を掛けた。

翼『んっ?何だこれ?カツラ?』

翼の発言を聞いて、私は慌てて振り返った。

翼『この髪型…。』

「翼!!返して!!」

翼『えっ!?』

はっ!!しまったΣ(゚д゚lll)

「いやっあの…」

翼『もしかして…鈴…?』

「ちっ違います!!」

翼『いやいや!鈴だろ!!』

「何で…断言できんの!?」

翼『俺を名前で呼ぶ女は、鈴だけだからな。』

私は諦めて、私が鈴だということを話した。
そして、私は音楽をやるためにここにやってきたこと、地元周辺では出来ないこと。


翼『中学で頂天だったとはな…。何ていう中学?』

「天龍中学だけど…?」

4人『天中!!?』

「なっ何!?知ってるの!?」

陵『知ってるも何も有名でしょ!!』

「えっ!?どっどういうこと!?」

私は天中の頂天だったから、地元では落ち着いて音楽が出来ないと思ってここに来たのに、ここでも知っている人がいたなんて。


翼『天中の者は無敵と呼ばれていて、幹部までたどり着くのも出来ないと言われている。』

天『俺らが中2の頃は、相手を半殺しにさせたって聞いた。』

「……。」

翼『その頂天が鈴なのか!?』

「それは…。悪いけど、もう終わったことだから」

奏多『それで、ここでは大人しく音楽をするために地味な格好してたわけですね。』

「そう。だから、誰にも邪魔されたくないの。それに、喧嘩というものは自分の権力のためじゃなくて、誰かを守るもの。だから、喧嘩するなとは言わないけど、脅したり自分のために使うのであれば私がゆるさない。」

私は、ウィッグをつけて音楽室に行こうとすると翼が後ろからついてきた。

カチャッ

「翼、何か楽器弾いてみる?」

翼『えっ?』

「この間、約束したし。翼だったら…サックスなんてどう??」

翼『サックス!?それ、難しいだろ!!』

「難しいけど、翼だったら出来そうだし、サックス似合うと思って。まぁ、やってみな。」


私は翼にサックスを渡し、サックスの弾き方を教えた。

♪〜…♪〜

「!!」

翼『おおっ!!』


教えてわずか、翼は弾けるようになった。
私と翼は嬉しくてハイタッチをした。

陵『翼、良かったな!!』

翼・鈴『「っ!!」』

いきなりの声かけにびっくりして、声する方へみると陵先輩がいた。

「陵先輩、いつの間に!!」

陵『ドアが開いてたから、入った( ^∀^)』

翼『俺、閉め忘れたかも!鈴悪い!』

結局、みんな音楽室に入ってきた。

陵『それより、このでかい太鼓はなに?同じの太鼓3つもいらなくねぇ?』

「それはティンパニーっていって、同じ物に見えますが音が3つともちがいます。」

ボンッ♪
ポンッボン♪〜

♪〜

えっ?
陵先輩すごく上手い(・_・;
でも、初めてらしいし何で?


翼『流石、上手いっすね、陵先輩は( ^∀^)』

陵『まぁな(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎』

「陵先輩、初めてなんですよね?」

翼『この楽器は初めてだけど、陵先輩ドラム出来るから。』

「そうなの!?」

陵『俺がドラムで、天がキーボード、奏多がボーカル兼ギターでよくライブハウスいってたよな』

「へぇ〜。今もやってるんですか?」

奏多『やっていません。』

「どうして?」

陵『そこのライブハウス、使えなくなったんだ』

理由を聞こうとしが何か想像がついて、口を閉じた。


多分、見た目と世間の噂で判断されたのだろう。
こんなにいい人たちなのに…。
悔しいなぁ(´ー`)

「じゃあ…」

天『やらねぇよ?』

「まだ、何も言ってないじゃない!!」

天『お前が考えてることなんてまるわかりだよ。』


知ってるよ!!
あんたたちがやらないことぐらい…
でも折角、楽器が弾けるのに…





だったら…




「わかった…。誘わないよ。」

天『えっあっああ。』

奏多先輩と陵先輩が天先輩の反応を見て、びっくりした顔をしてその後クスッと笑っていた。

奏多先輩と陵先輩は何で笑ってるのやら…

「一緒にできないのは残念ですが、楽器は続けて欲しいです。」

陵『鈴ちゃん、でもね…』

「場所ならここがあります!!」

絶対に天先輩たちは音楽が好きなんだと思う。
だから、その気持ちを大切にしてほしい。

天『だから…』

「うん。私とは一緒にやらなくてもいい。でも、音楽は辞めないでほしい。ムカつくけど、私は天先輩のピアノが好きだから…。」


天『えっ!?今なんて?俺が好きだと?』


私の言葉に天先輩が反応する。
何をそんなに驚くのかわからない。


陵『えっ!鈴ちゃん、天が好きなの…。』


「はぁ?何の話?」

奏多『七瀬さんが、天を男の人として好きってことをこの2人は驚いているのです。』

はぁ?
なわけないじゃん!!
私は…天先輩の〝ピアノ″が好きっていったの!!

「ちゃんと人の話聞きなよ!!私は、あなたのピアノが好きっていったの!(//`▱´//)」

天『顔赤いぞψ(`∇´)ψ』

「うるさい!!」

本当にムカつく!
この間、いい奴っていったの撤回!


陵『俺…やろうかなぁ。これ。』


んっ?
陵先輩?


「りょ…陵先輩、今何て言いました?」

私の問いかけに、陵先輩がティンパニーを指した。



えっ?えっ?陵先輩が、私と演奏してくれるってこと?



「陵先輩、やってくださるんですか?」


陵『うん。叩く系は出来るから。』

「陵先輩ー!!」

ぎゅっ

私は嬉しくて、陵先輩に抱きついた。

陵『(//∇//)!!』


だって





嬉しいんだもん(*⁰▿⁰*)



「陵先輩、本当に本当ですか?あとで、聞いてないってなしですよ?」

陵『あぁ(*^◯^*)』

翼『先輩やるのかぁ^_^じゃあ、俺もやってみよ』


「ほっ本当!?」

翼『あぁ、それより天先輩たちはどうします?』


天『俺はやらない。俺は帰る。じゃあな』

奏多『天がやらないなら。俺もいいわ』


そう言って2人は音楽室を出て帰っていった。



しゅん…

えっ?
何でだろう…

天先輩が入らないことに対して、がっかりしている私…。


この事がわかるのは先のお話…



つづく…


次回更新日予定

16年12月10日