バイオリンを探して1時間がたった。

翼『鈴、あったか?』

「ない…。ちょっとトイレ行ってくる…。」

翼『…。分かった。』

私はトイレ行った後、すぐに教室へ戻らずに
気づけば屋上の扉の前にいた。

「どこにいったの…。」

a『探し物ってこれ?ψ(`∇´)ψ』

この間の人たちが私にバイオリンのケースを見せた。そのバイオリンケースはあたしのだった。

「どこにあったの?」

b『はぁ?バカじゃないの?元々私たちが持ってたつーの(≧∇≦)』

「…。何でそういうこと普通にできちゃうわけ?」

c『翼くんたちのことだったら何でもするわ』

「だったら、こういう事しないで直接話しかけたらいいじゃない…。」

b『うるさい!!』

「とりあえず、それ返して!!」

a『嫌よ!!あなたが翼くんたちと離れてくれるなら考えてあげる』

「それはすごく大切な物なの。だから返して!!」

a『そんなに大切なら、私達の前で翼くんに電話して〝私にもう近づかないで″っていいなさい。』

そんなの言えるわけがない…。
初めてできた友達なのに…。




でも、バイオリンは…


プルルルル〜

私はバイオリンをとった。

翼『もしもし〜。』

「あっ…翼?」

翼『鈴、どうした?全然戻ってこねぇからみんな心配してんだぞ!』

「ごめん…。」

翼『本当にどうした?』

「ーないで、。」

翼『えっ?何?上手く聞こえなかった。』

「これ以上私に近づかないで…。」

私はすごく声が震えていた。

翼ごめん…。

バンッ!!

いきなり開いた扉に私はびっくりして視線を向ける。

扉から出てきたのは、翼に続いて天先輩たち。

「翼っ!?みんなっ!」

翼『鈴、いきなりどうゆう事だよ!』

「いや…翼たちともうこれ以上〜っ!!」

私が説明してる途中で、天先輩が手で口を塞がれた。

天『何も言うな…。大体はわかった。あとは任せろ…』

天先輩の言葉…
クールで素っ気ないけど、何か頼もしく感じた。

a『翼くん、見て!七瀬さんが探し物っていうもの見つけたから、渡してあげようかなぁって…』

女子aは慌てて翼にバイオリンを渡そうと、近寄ろうとする。

a(七瀬 鈴残念だけど、タイムアウトよ)
『きゃっ!!』

aは躓く振りをして、バイオリンを屋上から放り投げた…。

「ダメ〜!!!」

私は必死にバイオリンを追いかけて、バイオリンをキャッチした。

翼『鈴!!何してんだ!死ぬぞ!!』

えっ?死ぬ?
翼の言葉に下をみると…私も屋上から放り出されてた。





私は…死ぬのかなあ…






秀ちゃん…ごめんね…。
秀ちゃんのところに私も行くよ…。
私は覚悟を決めて目を閉じた。



パシッ!



えっ?



誰かに腕を掴まれた。






『鈴っ!しっかりしろっ!!』

私は声にびっくりしてゆっくり目を開けた…。


『おいっ!鈴!!』

そこに居たのは…

秀ちゃんだった…。



ううん!
違う…





天先輩!?


天先輩に名前で呼ばれたの初めてだけど、懐かしい呼び方だった。

秀ちゃんが私を呼ぶ時と同じ声に発音…。

気づいたら私は涙を流していた…。

「天先輩…。」

翼『鈴っ!バイオリンよこせっ』

私は翼にバイオリンを渡して、天先輩に引き上げられた。


「あの…。」

翼『鈴ー。天『お前は死ぬ気か!!?』』

翼が私に声をかけたと同時に、天先輩は私に大声をあげた。

翼と陵先輩たちは、初めてみる天先輩の表情をを唖然と見ていた。


「ごめんなさい…。」

天『とにかくお前は翼の側にいろ!』

私は天先輩の言葉に従い、翼の横に移動した。

天『さて、てめぇら…。この間の俺の忠告も聞かないってことは覚悟できてんだろうな?』

a『天先輩、違うんです∑(゚Д゚)ただ、私は見つけたから渡そうとして…。ねぇ!』

c『そうですよ!!でも、躓いちゃっただけです。』

天『これを聞いてもか?』

さっきの話の録音を女子に聞かせて、女子は青ざめた。

c『どうして…。』

翼『天先輩、どういうことですか?』

天『この間、こいつ(鈴)に怪我を負わせたやつらだ』

翼『はぁ!?』

天先輩は私に近寄り腕を掴み、袖を巻くって翼たちに見せた。

「いたっ!」

翼『ひでぇ…。鈴、何で言ってくれなかったんだ…』

「ごめん…。でも、私は大丈夫だから(^∇^)」

私は急いで、袖を下ろした。

a『違うのよ!』

天『はぁ?』

b『私たちはただ…』

天『奏多!!あれの準備しろ!』

奏多『仕方ありませんね…。』

奏多先輩は電話し始めて、男子生徒が5分もしないうちに道具を持ってきた。

a『まっまさか!!あれを!?』

天『やられたいから、3回もこいつに手を出したんだろ?』

c『ゆっ許してください…。』

天『はぁ?奏多!早くやれ!!』

えっ?何が始まるの…?

3人はすごく怯えていた。
椅子に縛られて手をきつく縛られている…。
天先輩は道具の中からハサミを取り出した。

天『お前(a)は髪の毛が自慢らしいから、お前に似合う髪型にカットしてやるよ!!』

a『いや!やめてください…。もう、手を出さないので…』

aは必死に天先輩に頼むが、天先輩は聞かずにハサミをaの髪の毛に入れた。

チョキチョキッ!
パサッ…パサッ…

a『い…いやああああ!!』

「ー!!」
天『おいっ!動くんじゃねぇよ!ブス!』

「ちょっと!!天先輩!!」

私が止めようとすると、翼が私を押さえた。

翼『ダメだ!ここは鈴が出るところじゃない』

「はぁ?!ちょっと放してよ!天先輩は間違ってるよ!」

私が翼と話している間にもどんどんaの髪の毛を切り刻んでる。

天『お前らだって同じようなことしてたろ?自業自得だろ?』

ハサミを道具箱にしまって、今度はbのカバンから携帯をとりだし、何かを打ち込んでいる。

b『あの…何を…』

天先輩はbに携帯を見せた。
その途端bは一気に青ざめてガチガチに震えていた。

「翼っ!放してっ!これはやり過ぎだよ!」

翼『ダメだ!!あれくらいじゃ足らない!』

私は必死で止めようと翼に訴えるが受け入れてくれなかった。

cは2人の仕打ちを見て、恐怖で震えていた。
天先輩は道具箱からゴム製のものを取り出し、cに取り付けた。

c『ゆ…ゆ…ゆる…して…ください』

天『お前は屋上から落ちてもらう…』


c『えっ!!』


私はもう我慢が出来ず、力尽くで翼をはらいのけて天先輩に抱きついた。


天『っ!!?七瀬…?』

「これ以上は…やめてください…。」

天先輩に抱きついた手はぶるぶる震えていて、泣いていた。

天『お前は身体を傷付けられたろ!何で庇うんだ?』

「私は身体に傷付けられるのなんて、いつものことだから大丈夫です。でも、この子達は違う。身体を傷付けられることに慣れてないし、身体じゃなくて心が傷付けられてます!私は身体だけです!」

天『そういうところが、こいつらのツケ上がらせるのがわからないのか?』

「お願い!今度何かあったら言うから、許してあげて…。」

私は女子たちの縄を解いた。

「ごめんね…。助けてあげられなくて…。本当にごめんね」

私は申し訳なくて、次々と出てくる涙を必死に拭った。

女子abc『ごめんなさい…。』

天『七瀬…ちょっと来い!!奏多、そいつらのことは任せた』

奏多『あぁ』

私は天先輩の後をついて行った。

天『どうしてだ?』

「えっ?」

天『お前はこの間、すんなり避けられただろ?なのに、何で避けないんだ?』

「避けないんじゃないの…避けられないんです。避けると次の動作であの子たちを傷付けてしまうから…」

天『お前、あんだけ痛い思いしたろ!やり返せよ!』

「女の子は殴れないよ…。でも、天先輩の気持ちはすごく嬉しい…。ありがとうございます╰(*´︶`*)╯♡」

天『(//–//)!!おっお前の為じゃねぇ!俺はコソコソと誰かを痛め付けてるやつが許せねぇだけだ!!』

私ははいはいっと笑いながら返事をした。

でも、天先輩はいつも意地悪な事ばっかり言ってムカつくけど…いざって時は助けてくれる。
時々の優しさをみると、何処か秀ちゃんに似てる。

さっきの名前呼んだ時だって…


ー?


名前を呼んだ時ー?

「あぁぁぁ〜!!!」

天『〜っ!!なっ何だよ!!うるせーな!!』

「さっき落ちそうな時、名前で呼んでくれたでしょ!!?」

天『はぁ?』

天先輩はポカーンとした表情をしたが、すぐに思い出したのか顔が真っ赤になった。

天『あっあれは!あれだ!いつも翼たちが呼んでたから、とっさに出ただけだ!!』

「別に呼べって言うわけじゃなくて、先輩が名前で呼んでくれたの初めてだったからびっくりしただけです。」


『はぁ〜。じゃあな!』

「ちょっと!待って!!」

パシッ!

私は無意識に天先輩の手を掴んだ。

天『えっ?』

「あ…えっと…私は嬉しかったです…名前で呼んでくれて…。」

天『あっそ…。今度…』

「えっ?」

天『今度…何かあったら、自分で何とかするとかじゃなくて俺たちに言えよ…。』

天先輩は翼たちのところへ戻っていった。



ドキンッドキンッ

さっきから胸の鼓動がうるさい。
多分、天先輩の優しさにびっくりしただけ…。



つづく…

次回更新予定
29年1月25日