雲にも光にも束縛されていない夜空には、いくつもの星が瞬いている。
きっとイマあそこで輝いてる星達は、自分が今なくなっちゃってるかもしれないなんて、考えてもいないんじゃないかな……?
前にも横にも何の障害もないこの道だったら、上を見ながら歩いたって構わない。
そう思って、ゆっくりとキラキラを眺めながら進んだ。
数も数えられないくらいに重なって、重なって、広がる。
そんな星から目が放せない。
この感じが、好きな人を想うことに似ているのだろうか。
だから、本の中の彼も夜空を眺めていたのかもしれない。
そのまま呑気にそのまま歩いていた私だったが、思わず足を止めた。
「何……? あれ……」
さっきまで止まることなく広がっていた星々が、いきなり見えなくなった。
いや、実際には、そこだけ丸くぽかっと穴ができたように、星がない。