ドアに手をかけて部屋を開けた雅樹に軽くうなずく。


待っていよう。

そう思ってうなずいたのに、何故か体が勝手に動いた。


「え?どうしたの? 千夏」

「わかんない。何か、体が勝手に……」

「まさか……」


少し考え込んだ雅樹が、顔を上げた。

それと同時に、私も思いついた。

きっと……


「これが『傍にいたい』の結果なのか?」


傍にいたいから、“離れられない”

……そういうことになるのかな?


「そうみたいね……。私も一緒に行くよ。雅樹のおばあちゃんの所」


ちょっと肩をすくめながら言った私に、雅樹はまた明るく笑った。


「七夜伝説って強烈だなー!この状態も確かに嬉しいし。
でも、早く千夏を元に戻さないとっ!いつまでも千夏がスケスケだと、手出せないからねー。
そんなの絶対嫌だ!」


にやりとしながらそう言う雅樹の背中に、私は「バカ……」と小さく呟いた。