「歩いてたら、突然強い風が吹いてきたんだよね?」

「うん、そう」


真面目そうに聞いてきた雅樹に、素直に頷く。


「そんなの日常茶飯事じゃんっ!
何か他に変なことしてたんじゃないの? 電柱に話し掛けるとか、宇宙と交信してみるとか」

「私には超能力もなければ、宇宙人でもないの!そんなことするわけないじゃない!
ちゃんと普通に歩いて……あっ!」

「何? やっぱり交信してた?」


本気なのか、冗談なのか……。

きらきらした目で見つめてくる雅樹に呆れつつ、私は返事をした。


「いや、歩いてなかったの。私……」

「へ?」

「星をね、数えてたの。
ほら、今日って普通に星がいっぱい出てるでしょ?でも、何故か1ヶ所だけ丸い大きな穴が開いたみたいに真っ暗な所があって……。
その中は星が少ししかなかったから、数えてみたの」


状況を上手く説明できたかはわからない。

でも、ジェスチャーなんかを使いながら必死で伝えた。


「そっか……。ねぇ、星はいくつあったの?」

「え?7つだったけど……?」


それを聞いた雅樹が、何かを閃いたような顔をした。